枯れた技術

前回の続きです。「IT技術者を目指す新人にとって何を学ぶべきか」

自分で掲げたテーマですが、あらためて考えだすと、とっても難しいテーマでした。正解は無いですからね。

今後もずっと考えていくべきテーマということにして、今回は「枯れた技術」という言葉をメインにしてみたいと思います

新人
新人

枯れた技術?オワコンの技術ですか?

ハセ
ハセ

オワコン?ああ、終わってしまったコンテンツね。「枯れた技術」という言葉には、そんなネガティブな意味合いはないよ

枯れた、という名前の響きから、ネガティブの印象を受けてしまうかもしれませんが、枯れた技術という言葉は、「すでに広く使われていて、仕様も固まり、不具合も出し尽くしていて安定して使える技術」のことです。「枯れた」には、「円熟して、落ち着いた深い味わいが出てくる」という意味があります。

ここからは、個人的な経験からの話になります。

私自身、システムエンジニアとして仕事をしていく中で、何を武器にしていくか模索している時期がありました。というのも、子供のころからコンピューターに興味はあったものの仕事にするつもりはなく、結果的にこの業界に来たのが20代後半と遅かったため、業界を渡り歩くには武器が必要だ、と感じていたからです。

10年選手レベルに5年で追いつくと目標を決めて仕事をしていましたが、プログラミングや設計は楽しかったものの、現場だけで身に付けることができる技術は多くありません。また、自己学習といっても、そもそも仕事が忙しくてそんなに時間は取れません。でも新しい技術はどんどん出てきます。

そんななか気づいたのが、意外とみんな、目先の技術は理解しようとしているものの、枯れた技術については、そんなに押さえていないということでした。

そこで、私が目につけたのは、まずネットワークの知識です。思いっきり業務SEをしていた自分でしたが、インフラ寄りの知識をつけたいと思ったのです。

当時、インターネットが普及し始めていましたが、最新トレンドのようでいて、その技術的中身はTCP/IPの世界をベースに発展したものと捉えていたからです。インフラ系の人から当たり前のことも、業務系の人はそこまで内容を理解せず、なんとなくわかった気で使用しています。

勉強すると、多くが枯れた技術をベースとしてネットワークは構成されていました。そしてその枯れた技術は、20年たった今でも、それがベースとなっているのです。

業務SEにネットワークの知識の知識がつくことで、インフラSEの方と話せるようになり、サーバ周りの環境構築などがスムーズにできるようになりました。

次に目を付けたのがデータベースです。これもかなり枯れた技術の上に成り立っています(それ自体大変奥深いですが)。リレーショナルデーターベースであればデータベースの種類に関係なく共通となる知識が多いです。

これにより、DBA(Database Administrator)の方と話せるようになり、DB周りの環境構築などがスムーズにできるようになりました。

私自身、自慢できるようなコアが技術はもっていないのですが(本当は持ちたかったです。持っている人を尊敬してます)、業務SEをやりながらも枯れた技術を抑えながら守備範囲を広げることで、システム全体の話ができるという武器を手に入れたと思っています

さて、話を戻しますが、これから技術を身につけていこうとする新人さんにアドバイスするとしたら、自分がどういう技術だったら好きに勉強を続けられるかを考え、またどういう方面に自分が向いているかを他人に客観的に見てもらうのも大事、と伝えたいです。

最新の技術(例えば最新のフレームワークなど)を追っていくことが大好きであれば、どんどんそれを追っていくべきです。まだ主流になっていないが、今後トレンドになりそうな技術を先にマスターしておけば、素晴らしい武器になります。

逆に、そういうものをずっと追っていくのがつらいな、という人には、枯れた技術をお勧めします。

例えば、PL/SQLなどまだまだ需要がありますが、技術者は高齢化してますし、だけど言語仕様は20年前からほぼほぼ変わっていません(SQLが主体ですからね)。でもフェッチの考え方など、学んでおいて損はないですね。

TCP/IPなどのネットワークの知識をつけていけば、今後需要が求められるセキュリティ関連の仕事もできるかもしれません。また、ネットワークの知識があればAWSなどのクラウドサービスへの理解も早いです。

当社の若手には、世の中の需要と、自分の興味と、自分のタイプと様々考えながら(バランスをとりながら)技術を磨き、よりよい技術者になっていってほしいと考えています

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